不動産賃貸営業マンとして働いていると、たくさんのお客さんの要望に触れることになるわけなんですが、その中でけっこう多い部類に入る要望の一つがオートロック付き物件だと思います。
結論から言ってしまうと、不動産業を経験している人ならわかる人が多いかもしれないのですが、オートロックにはそれほど意味がありません。
今回の記事ではなぜオートロックに意味がないのかについてと、オートロックの突破の具体的な例みたいな話をできればなと思っています。
お客さまの予算は平均より下なのに、要望は高いということがよくありますよね。そんなときにこういった知識を持っておくと、意外と便利だったりします。今までオートロック付きじゃないとダメですというお客さんに対してうまく切り返しができなかった人にはピンポイントで刺さる内容になっていると思います。
実はオートロックは無意味だという話【不動産賃貸営業マン】
先ほど結論としてオートロックは無意味ですというお話をしましたね。もちろん、全くの無意味、オートロックなしの物件と変わらないということはありません。フリーで自宅玄関まで簡単に来れるのか、オートロックシステムで一度足止めされるのかは多少なりとも効果に違いはあると思います。
まずはオートロックがある物件とない物件のメリットとデメリットについて簡単にまとめてから、無意味だと僕が言い切る理由について解説していこうと思います。
オートロック物件のメリットとデメリット
まずは簡単にメリットとデメリットをまとめますね。
メリット
- 玄関の前に来る前にエントランスで足止めできる
- エントランス内には関係者しかいない
- 大体防犯カメラがエントランスについている
こんなところでしょうか。これだけ聞くとかなり防犯性が高くなっているように感じますよね。
デメリット
- 家賃が高い
- ポストが遠い
デメリットはこんなもんかと思います。とはいえ家賃が高いことというのはけっこうなデメリットだと思うので、家賃の高さを理由にあきらめることになる人が最も多いのではないかなと思います。
なぜオートロックは無意味だと言い切れるのか
では本題です。オートロック物件は確かにメリットはあると思います。全く無意味とは言えないのですが、オートロック物件なら安心でしょと思い込むのはけっこう危険だと思っています。その理由について下に深堀していきます。
何から守りたいのかという話
まず、オートロック物件に住みたい理由は何でしょうか?変な話、なんとなく安全そうだから見たいな理由で、予算的にも問題ないのであればオートロック物件に入居した方がいいに決まっています。
その理由は簡単で、こういったタイプの人はオートロック物件に住んでいるというだけである程度の安心を手に入れることができるわけですので、それ相応の価値を感じることができます。
でも予算が足りない人については別です。オートロック物件がイイ理由、本質は何かというところにスポットを当てましょう。
未知の不審者から身を守る予防的観点ならモニタ付きドアフォンで十分
例えば、今の世の中ネット通販がかなり一般的になったことで、家に届く宅配便の数は爆発的に増えました。それにより何が起こっているのかというと、赤の他人の配達員が玄関の前まで来て、扉を開けなくてはならないタイミングが増えたということです。
もちろん、配達員の方のほぼ皆さんが真面目に誠実に仕事をされていると信じているのですが、悲しいことに中にはちょっと変わった方というか、不誠実な方がいるのも事実です。
たった一度の宅配という接点からストーカー被害にあったりするケースが、少ないとはいえないということもないのが現実です。
ここでオートロックは有効なんでしょうか?
一見有効そうに感じるかもしれないのですが、よく考えてみてください。結局配達員の方には住所も部屋番号も割れています。オートロックで部屋番号で呼び出して、結局中に入りますよね?そして部屋前まで行き玄関を開けてもらい、荷物は手渡しです。
そうなんです。この予防的観点で話をすると、オートロックには何の意味もありません。部屋の扉を開ける前に誰が来たのかを確認するだけなら、オートロックではなくモニター付きドアフォンがあればOKということになりますよね。
予防的観点で防犯したいなら宅配BOXにすべき
予防的観点で防犯したいからオートロックと考えている方にお勧めしたいのはどちらかというと宅配ボックスです。
先ほど話した通り、オートロックは予防的観点では全く威力を発揮しません。対面する機会はできてしまうので全く防げていないことになります。ここで考えてほしいのは、対面を防ぐにはどうすればよいのかということです。答えは宅配ボックスです。
宅配ボックスとは簡単に言うと、依頼者の不在時に荷物を入れて置けるお金のかからないコインロッカーみたいなものです。
要するに、家に届くすべての荷物は一度宅配ボックスに入れてもらい、自分でエントランスまで取りに行くという方式を取ればいいんです。こうすれば配達員さと対面して受け取る必要がありませんので、予防的観点からも有効です。
すでに存在する不審者から身を守ることが目的の場合
すでに存在する不審者、例えばすでにストーカ被害にあっている場合など、特定の人から逃れたい場合といった感じですね。
この場合は一見メリットがありそうに感じると思うのですが、ぼくはそんなことはないと思っています。というのも、オートロックは簡単に突破できてしまうからなんです。これについては次の章でもう少し詳しく話していきます。
要するにオートロックにはあまり意味がない
何度も言っている通り、全く意味がないということはないと思いますし、気持ち的な問題であった方が安心だということならオートロック付きでいいと思います。
でも、先に述べた通り、結局扉の前までは来れてしまったり、簡単に中には入れてしまったりしますので、それでもオートロック付きで高い家賃を払うことに意味があるのでしょうか?というのは一つの営業トークとして覚えておいてもいいかと思います。
不審者はどうやってオートロックの中に入るのか
ちょっと番外編的な内容かもしれませんが、どうすればオートロック物件の内部に侵入できるのかについてお話ししておきます。ちなみにこれはお客さまの内見時にオートロックが開けられず困った僕が実際に使ったことのある方法なので間違いありません。あくまでもお客さまの為ですし、鍵を開けられる状態にしておかなかった管理会社が悪いのでしかたなかったとご理解いただけると助かります。
他の入居者が入るタイミングで一緒に入る
これはけっこう思いつく人いるんじゃないかなと思います。誰かがオートロックを開けてくれたタイミングで一緒に入っちゃえばいいんですね。
でもこれまぁまぁ怪しまれます。そこでぼくがこれを前やったときは、その人に話しかけて、事情を話していました。例えばこんな感じです。
「不動産屋なんですが、○○号室に用があってきたのにオートロックの鍵を業者が用意し忘れてしまい入れなくて困っているんです。もしよかったら一緒に入ってもいいですか?」
これでほぼ100%入れてもらえます。みなさん本当に心の優しい方ばかりなのでありがたい限りなのですが、自分のマンションに簡単に人を入れてはいけませんよ、本来は。
他の入居者に開けてもらう
オートロックの呼び出しボタンで、適当な部屋番号を押して呼び出します。そして、出てもらえるまでいくつかの部屋に呼び出しをします。相手が出てくれたら、さっきのように事情を説明するんですね。
「不動産屋なんですが、○○号室に用があってきたのにオートロックの鍵を業者が用意し忘れてしまい入れなくて困っているんです。もしよかったらエントランスの鍵を開けてはもらえないでしょうか?」
これもほぼ100%開けてもらえます。本当に日本人というのはやさしい方が多いです。
ちょっと頭を使えば簡単に入れる
このように、ちょっと頭を使えばオートロックの突破はめちゃくちゃ容易いんです。なかには「不動産屋さんだからあけてくれたんじゃないの?」という人もいますが、ぼくはこれらの手段で入れてもらった際に、自分が不動産屋である証明をしていません。
確かにスーツは来ていましたが、それだけです。
要するに、このやり方の場合、スーツを着ていてそれっぽく見えれば誰でもできてしまうということです。
まとめ
今回はオートロックがいかに無意味かについて解説してきました。
オートロックを選びたい気持ちはよくわかるのですが、正直あまり防犯の観点でのメリットはありません。理由は、誰でも簡単に突破できてしまいますし、実際にぼくが何度か突破した経験があるからです。※管理会社にも報告済みなので安心してください!
オートロックをつけるべき人というのは、気持ち的に安心できるという人だけだと思います。
とはいえ、お客さまがオートロック付きがイイと言っているのを真っ向から否定するのは良くありません。予算が低いのにオートロック付きがイイと言っている方などにこの話をすれば、もしかしたら道が開けるかもしれません。
ただ、オートロックの突破の仕方については自分の話としてではなく、聞いた話として話すことをおススメします。不法侵入みたいなことを平気でする不動産屋さんだと思われてしまいますからねw
る営業マンへ送る究極のノウハウ本発売中

著者であるぼくが賃貸営業マンとして成功するために何を考え行動したのかのすべてをここに詰め込みました。できるだけ再現性、汎用性が高く、誰もがマネできることを一番に考えて執筆しています。
「絶対に成功してやる!」みたいなやたらとモチベーションが高い人向けというよりは、不動産賃貸営業マンになりたくてなったわけじゃなかったり、なってみたはいいけれどなんだかうまくいかないといった方に向けて書いています。